どうも 作曲家・編曲家・講師の山下です。
「作曲をはじめたいけど、音楽理論がわからないから無理かも…」
特に中高年の生徒さんや、忙しい社会人の音楽家、ミュージシャンの方からもこのような声をよく耳にします。
確かに音楽理論は奥が深く、専門性がかなり強い上で作曲初心者の方にとっては新しい学びへの不安も大きいかと思います。
しかし、結論から言えば音楽理論が分からなくても作曲は十分に可能です。
では、なぜそう言えるのか?と言いますと、その理由についてお話していきたいと思います。
作曲理論・音楽理論は本当に必要なのか?
音楽理論の必要性の有無については、作曲家やアレンジャー、プロデューサーの間でも意見が結構分かれるんですね。
直感的に作曲する人もいれば、理論的な作曲方法を好む人もいて。
実際、昨今のDTM(デスクトップミュージック)の発展により、専門的な音楽理論がなくても作曲が可能になっています。
DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)と呼ばれる作曲ソフトを使えば、音符や楽譜の知識がなくても曲作りができてしまいます。
〈音楽理論なしでも作曲できる理由〉
作曲初心者の方でも音楽理論なしで作曲できる理由ですが、それは作曲ソフトウェア(DAW)を使えば、直感的に作曲が可能であるということです。
昔は楽譜の読み書きを土台とした作曲が前提でした。
ところが、次第に演奏を楽譜以外でも残せることが増えてきたんですね!
例えば、ボイスレコーダーにギターや歌を録音したりとか、これはイメージしやすいかと思います。
現代の作曲、音楽制作の環境は音楽理論と作曲の距離を大きく縮めています。
特に中高年の方でも、パソコンやスマートフォンの操作ができれば、作曲ソフトの基本的な使い方はすぐに習得できます。
作曲理論・音楽理論を学ぶメリット
とはいえ、作曲理論を学ぶことには大きなメリットがあります。特に忙しい社会人の方にとって、これからお話していくメリットは見逃せません。
作曲理論の習得は、特に38歳以上の方や忙しい社会人の方にとって、以下のような
メリットをもたらします!
脳内の作曲アイデア・イメージを形にするスピードが格段とアップする
頭の中のメロディを楽譜やDAWに素早く反映することができます。
例えば、コード(和音)の知識がなく、手探りで鍵盤を弾いてると、本当に手探り状態なので、毎回確実に自分がイメージする和音を瞬時に弾くことができません。
コードの知識やコードとコードを連結させていく、コード進行のパターンを理解していることで、ハーモニーのアレンジをスピーディーに行うことが可能です。
理論的な裏付けによって、迷いが少なく音楽制作、作曲の時間が短縮できるメリットがあります。
作曲やアレンジがやりやすくなるのであれば、学ぶしかないよね!
修正作業の効率化
曲を作っていて、メロディと伴奏がぶつかっている(不協和音)を起こしている箇所、違和感のある部分の原因特定が容易に可能なんですね。
例えば、スケールやコードの知識があると、作ったメロディとコードの相性、使ってはいけない組み合わせなど、適切な音の選択が素早くできるようになります。
なるほど、、理論が分かることで初歩的なミスやエラーに気付けるので、作曲がスムーズになるわけですな。
作曲途中の行き詰まりからの脱出が早い
コード進行の組み合わせの相性などから理論的に予測可能となるため、あなたが作ったメロディに例えば「どんなコードをつけたらいいんだろう?」と思った時、最適なコードの選択、コード進行の選択肢などを絞り込むことができます。
音楽理論の知識が多少なりあることで、複雑な楽曲構成を意識して作ったり、作曲の幅が広がるようにもなります。
そりゃ凄いな、作曲のスピードやクオリティアップが臨めるんですな。
作れる楽曲のジャンル幅の拡大
例えば、楽曲のジャンルごとに定番とも言えるコード進行やスケール(音階)の型や特徴があります。
ジャズ系コード進行、R&B、ファンク風、バロック的な和音の雰囲気など。
このようなコード理論、音楽理論の知識があることで作れる楽曲ジャンルの幅が広がっていくのです!
音楽理論を学ぶことで自分があまり使わないコード進行のパターンや型を知れることで他のジャンルの楽曲を作るきっかけにもなります。
例えば、R&Bでよく使われるコード進行を知ることでロック系の曲を普段作っている方でも、 R&B調のハーモニー、アレンジテイストを盛り込んだロック曲にできたり、バロック系、ゴシック系のコード進行やスケール(音階)を知ることで、ゴシック系のアレンジ、雰囲気をスキルとして取り込むことができます。
なんと!音楽理論を勉強するだけで、曲作りの幅が増えるですと?!
オリジナリティの引き出し、方法論が一気に増える
音楽理論の知識があることで作曲初心者の方であっても、中級・上級者的なアプローチを早い段階で取ることが可能になります。
音楽理論を基にした意図的な規則破りをしてみたり、自分ではなかなか思い付かないような作曲、編曲のアプローチを音楽理論を学ぶことで得られます。
既存の音楽理論、作曲理論の組み合わせによって、新しい作曲のアプローチや表現力を生み出すこともできます。
『〜の曲っぽい』って言われるより、オリジナリティがあるに越したことはないよね!
作曲依頼やプロの音楽制作現場での信頼性向上
音楽理論の知識があることでお客様、クライアントとの専門的なコミュニケーションが可能となります。
それだけに限らず、レコーディングスタジオやチームでの音楽制作を行う際にも非常に有利になってきます。
クライアントや楽曲依頼の担当者さんの要望に対する理論的な提案ができたり、修正依頼への迅速な対応もできるようになってきます。
そりゃぁ凄い!!理論をしっかり学ぶことでプロの音楽現場で有利になるんですね?
楽曲の質・クオリティが安定してくる
音楽理論、作曲理論の知識があることで音楽制作そのものがスピーディーになり、狙い通りのメロディ、コード進行、ハーモニーの響きを構築することができるようになります。
それによって毎回確実な完成度、クオリティで音楽制作が可能となるため、楽曲の品質、クオリティに安定感が生まれてきます。
それによって音楽家、プロとしての信頼性にも繋がり、作曲家や編曲家、アーティストとしてのキャリアの安定にも繋がっていくんですね。
デビューしても一発屋では終わりたくない。仕事の安定感が欲しい。。。ますます学ぶしかないな。
音楽制作・作曲行為自体の『ムダ』を省ける
音楽理論や作曲理論が分かることで、毎回手探りでスケールやコードを弾くのとは違い、テンプレートのように自分がイメージしているハーモニーの雰囲気を即時利用することが可能となります。
それにより、音楽制作、曲作りの時間効率が良くなるため、圧倒的な無駄を省くことができます。
規則性や理論が分からない状態に比べて、楽曲制作のスピードが何倍にも上がります。
曲作りに試行錯誤はつきものですが、必要のない無駄な試行錯誤をカットすることができるのです。
特に忙しい社会人の方にとって、限られた時間の中で効率的に作曲活動を行うためには、作曲理論の基礎知識は大きな武器となります。
すべての理論を完璧に習得する必要はないですが、自分の目的や興味に合わせて必要な理論を選択的に学ぶことで、作曲活動がより充実したものとなるはずです。
曲作りには膨大な時間がかかりそうだけど、音楽理論を勉強すると、制作時間が短縮やムダが省けて、クオリティも上がるなんて凄いですやん!
では逆にデメリットの部分も見ていきたいと思います。
作曲理論・音楽理論を学ぶデメリット
作曲理論を学ぶことには多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットも
ありますが、参考までに。
学習への時間と労力
これが一番大きなハードルかもしれませんが、最初は覚えることがたくさんあります^^;
なので、音楽理論を学ぶために地道にでも学習する時間が必要です。
それと、一度コードやスケール、インターバル(音程)の知識を学んだぐらいでは人は忘れてしまう生き物です。
繰り返し反復して学習する根気も必要となるんですよね(汗)
忙しい社会人の方にとっては作曲ソフト(DAW)の操作を覚えたり、作曲をする時間とは別にこういった音楽理論の基本を学ぶための時間を確保する必要もあります。
もちろん、覚えてしまえば、作曲を行う中で何度も何度も使うものですので、忘れにくくはなってきますが!
やはり根気よくやるのしかないのよねえ。。頑張るぞ!!
金銭的なコストと教材選択の難しさ
音楽理論を独学で学ぼうと思うと、ちゃんとした教材が必要になってきます。
書籍であれば、2,000前後もあれば、本屋さんで購入することはできます。
しかし、初心者の方が理解しにくいような状態(専門用語への補足解説が少ないなど)も見られるため、挫折してしまう可能性もあります。
確かに理論書は難しくて、何書いてるか分からないわぁ。。。
そして、YouTube動画やネット検索をすると、音楽理論について解説をしているコンテンツは多数出てきます。
とはいえ、作曲初心者の方にとっては何が本当に正しい情報なのか判断しにくい部分も多いでしょう。
そして、出てくるコンテンツはカリキュラム化されているものが少ない、あるいは全くない。ことも多いです。
これの何が問題か?というと、
なぜなら、順序よく学習を行わないと、理解があやふやな状態で、分からないことが増えてくるからです。
学校みたいにカリキュラム化されていれば、無料の理論情報でも役に立つのにね。。
自由な発想・アイデアの制限をかける可能性
音楽理論・作曲理論に縛られるあまり、自由な作曲のアイデア、発想を制限させてしまい、理論・型に押しはめたような曲作りになりがちです。
プロや上級者の方ともなれば、あまり影響を受けにくいのですが、作曲初心者の方にとっては経験が少ないゆえに音楽理論の影響を受けやすいことがデメリットに働くかもしれませんね。。
理論に縛られすぎて直感的な創作が減少し、創造的、芸術的なものから「正しい作曲」を意識した曲作りになる可能性もあるでしょう。
理論から外れたメロディラインやフレーズ、ハーモニーが生まれた際に理論で否定してしまう。ということが起きてしまうかもしれません。
せっかく良いメロディができた!と思っても、音楽理論がものさしになってしまって、肯定的に捉えられなくなるのか。。。 (^^;;
作曲やDTMをすることの楽しさが低下する
理論的な正しさを追求するあまり、創作の喜びが薄れてしまう可能性も。。。
完璧主義に陥りやすく、純粋に音楽制作を楽しめなくなる場合があるかもしれません。
確かに音楽は楽しんでこそですもんね!
音楽制作へのプレッシャーと挫折
上記の理由によって、音楽制作自体へのプレッシャーや挫折に繋がる可能性があるため、音楽理論は『便利なツール』ぐらいに考えて、絶対的な作曲理論ではない。
ということを念頭に置いておきましょう。
了解しました!あくまで音楽理論は作曲を効率化する「道具」に過ぎないってことなんですね?
まとめ
音楽理論や作曲理論を学ぶことのデメリットも存在しますが、圧倒的なメリットの方が多く、その多くは適切な対策と心構えで軽減できます。
そして、こういった理論を活用することで、あなたの音楽制作を効率化し、もしアマチュアや趣味の音楽制作であったとしても、プロフェッショナルさながらのクオリティを追求する通過点となります。
特に中高年の方は、若い世代と比べて時間的制約や学習効率の面で不利に感じることもあるかもしれません。
しかし、むしろご自身の人生経験を活かしたり、効率的な学習を工夫すれば、理論と感性のバランスを取りやすくもなります。
それぞれのメリット、デメリットを理解した上で、音楽理論や作曲理論を活用することでより充実した作曲活動を実現できるでしょう。
山下先生、今日もよろしくお願いします!(^^)